サヨナラの行方



彼からの反応は、何もなかった。

これは、確実に彼が仕組んだということ。

心の中で笑っているのかもしれない。

最後は、私と話しもしたくない、目も合わせたくないということか。

つい昨日まで、イヤ、本当にさっきまで近くにいたはずなのに。

始まりも始まりならば、終わりもあっという間なのか。


社内でも、会社を出てからも、涙は見せない。

本当は、そんな資格ないのだから。


朝彼と一緒に来た道を、数時間後、少し冷たい風が吹く中、1人で歩いた。

泣いている暇はない。

次の仕事を探さなくては。

一人暮らしをしている以上、収入がないと生きていけない。


私はこのまま、ハローワークへ向かった。

退職処理は何も出来ていないと思うけど、動かないと何も始まらない。

だから、毎日のようにハローワークへ行ったり、ネットで探したりしていた。




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