サヨナラの行方
そんなこと、考えたくなかった。
想像だってしたくない。
でも、そんなことを思っていると、現実に起きてしまう。
それは、紗希ちゃんと話していたすぐあとのことだった。
「ねぇ、和泉課長が結婚するらしいよ!」
更衣室で聞いた、突然の話し。
「え?それ、本当なの?」
「本当だよ。だって、課長と常務が話しているのを聞いたんだもん」
「常務?何で常務が出て来るの?」
「それが、相手っていうのが常務の娘らしいの!」
「えぇー⁉本当に?やるねぇー」
そんなことを話しながら、彼女たちは更衣室を出て行った。
相手には納得したけど、冷静に聞いていられる話しではなかった。
着替えていた手は止まって、体全体が震えている。