サヨナラの行方
7th*失ってから気づいた想い―和泉課長side―
まさか、こんなことになるとは思わなかった。
あのおっとりとした、正真正銘のお嬢様が、あんな風に出るとは思わなかったんだ。
見た目とは全然違う、あの追い詰め方と話し方で本当に気持ちはなくなった。
情もわかない。
もちろんだけど、あれは俺が仕組んだことではない。
あの子を追い出すようなことはしない。
不倫をバラせば、俺だって立場は悪くなる。
今回は、常務の娘が訴えたことで、全面的にあの子が悪いようになった。
でも、実際は俺が唆しているし、俺が無理やりしている。
あの子が悪い訳じゃないのに。
それでも、あの子の最後のセリフ。
『これで、満足ですか?』
確実に、俺が仕組んだことだと思われた。
すぐに言い返すことが出来なかった俺も悪い。
あの中で、自分だけを守ってしまったから。