サヨナラの行方
そうなれば、あの子が俺に裏切られたと思っても不思議ではない。
あれは、俺の考えが甘かっただけ。
でも、俺が今、何を思ってもどうすることも出来ない。
結婚している事実がある以上、何を言っても信用はされない。
俺は、このことを忘れるかのように、仕事に没頭した。
忙しくなくても、会社に残って仕事をした。
「冬馬さん?忙しいんですか?
せっかく、あの子がいなくなったのに……」
最後の方は、ぼそりと呟くように言ったけど、はっきりと聞こえた。
あまり隠そうとはしないらしい。
今さら隠したところで、隠しきれるものじゃないけど。
「夫婦の時間を持ちましょう?私、子供2人は欲しいです」
少し頬を赤らめながら、そんなことを言う。
その表情を見る限り、本気で子供が欲しい訳じゃなく、ただヤりたいだけに見える。