全力片思い
「そういえば来週だよね、歩く会があるの」

「そうだね。早いね、一年って」

学校の最寄り駅に到着し、肩を並べて学校までの道のりを歩いていく。


「しかもグループで競争させるのが余計だよね」

「えー、そうかな。私は楽しいと思うけど?」

「そりゃ運動神経がいい光莉は楽しいかもしれないけどさ。……平均並みの体力しかない私は去年散々な目に遭ったよ」


そうなのだ、毎年十一月下旬に行われる我が校の伝統行事“歩く会”。

ただ歩いて終わりならいいけど、なんでも団結力と友情を深めるために数名のチームを作り、競わせるのだ。


去年初めて参加したけれど、男女四人で組んだチームだった。

でも私以外みんな体力があって、完全に私は足を引っ張ってしまったのだ。

みんなは「気にしないで」って言ってくれたけれど、しばらくずっと気に病んでしまった。

公平を喫するために体力のバランスでチームは組まれちゃうし。

今年は誰とチームになるのかな。

考えただけで気が重くなるばかりだ。
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