全力片思い
「皆森さんもそう思うでしょ?」

「え、あー……うん。そっくりだったかな?」

高鳴る鼓動を隠すように言うと、光莉も柳瀬もさらに顔を赤くさせた。

「もう萌まで……!」


突然こっちを向いた笹沼くんにもびっくりしちゃったけど……でもそれよりも私が驚いているのは光莉の反応だ。


光莉と出会って二年目。

余裕なさげで顔を赤くさせ、照れ臭いのか戸惑っている光莉。
こんな彼女の姿は今まで一度も見たことがなかったから。


「ほら萌、一時間目科学室に移動だし、早く行こう!」

逃げるように手早く準備を済ませ、席を立つ光莉。

「あっ、ちょっと光莉!?」

彼女を目で追いながら私も慌てて準備を済ませ席を立つ。

「ごめん、先に行くね」

「……あ、あぁ」

光莉の意外な言動にポカンとしているふたりに声を掛け後を追った。
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