全力片思い
「光莉!」

廊下に出ると光莉はスタスタと足を進めており、駆け足でやっと追いついた。

「もー、歩くの速すぎ!」

肩を並べた頃には少しだけ息が上がってしまっていた。

光莉の隣を歩きながら呼吸を整えていると、いつの間にか光莉の足は止まっていた。

「……光莉?」


すぐに戻り首を傾げながら彼女の顔を覗き込むと、光莉はいまだに顔を真っ赤に染めたまま、俯いてしまった。

こんな光莉を見るのも初めてで、正直なんて声を掛けたらいいのか戸惑ってしまう。


クラスメイトが不思議そうに私たちを見ながら通り過ぎていく中、光莉は震えた声で聞いてきた。

「私……変に思われたよね」

「え?」

うまく聞き取れず聞き返してしまうと、光莉は顔を上げた。

「だからその……! 柳瀬くんに変に思われちゃったよね?」

光莉の瞳は大きく揺れていて、不安気。

やっぱりこんな光莉を見るのは初めてで、返答に困ってしまう。
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