全力片思い
苦しくて胸が押し潰されそうになる。
けれど必死に笑顔を取り繕った。


「じゃあそのときは頼りにするから。……柳瀬も遠慮なく私のことを頼ってよね」

いつも通りに振る舞えているかな?

不安だったけれど大丈夫だったようで、柳瀬は嬉しそうに白い歯を覗かせた。


「頼りにしまくっておりますよ」

「痛っ! 痛いから!」

肩を叩かれ怒ると柳瀬はますます嬉しそうに笑うばかり。


笑顔を見せられると、やっぱり好きだなって再認識させられちゃうよ。

私、柳瀬の笑顔が好き。

できるならこの笑顔をこの先もずっと一番近くで見ていたいよ。

ふと涙が溢れそうになってしまい、慌ててクルリと身体の向きを変え、ドアの方を見た。

「あっ、そろそろ光莉が来るよ」


気づけば列車のスピードも落ちてきていて、車内アナウンスが駅に到着することを知らせている。

「マジか!? そっか皆森、いつも小松崎さんと一緒に来ているもんな。やべぇ、なんか緊張する」

さっきまでの笑顔は消え失せ、柳瀬の顔が強張っていく。
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