全力片思い
「笹沼くんだってそうでしょ?」

「――え?」

「いい人だもの。……柳瀬が仲良くなる人はみんなそう」


今なら光莉が必死に私に伝えようとしてくれていたことが、痛いほど分かるよ。


口数は少ないけれど、本当は優しい人だって。

そして一途に光莉を想い続けている純粋な人だって――。

思いのまま話したはいいものの、ふと笹沼くんが何度も瞬きをしているのに気づき、ハッとする。


「あっ……その」

うわぁ、私ってばなに言っちゃっているんだろう。

笹沼くんがなにも言わず話を聞いてくれていたことをいいことに……!

恥ずかしくなっていると、なぜか笹沼くんの頬も次第に赤く染まっていった。


「……え?」

思わず声を漏らしてしまうと、ますます笹沼くんの顔は赤くなっていく。


目をパチクリさせガン見してしまっていると、笹沼くんは慌てて口元を手で覆い隠した。
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