全力片思い
思いっきり笑ったからかモヤモヤ感はなくなり、早く光莉の誤解を解いてゴールまで頑張ろうって気持ちを改められたんだけど……。


午前中とは打って変わり、なぜか微妙な空気が流れている。


笹沼くんはいつも通りだけど、テンションが高かった柳瀬は口数少ないし、光莉もどことなく元気がない。

もしかしてさっき、柳瀬とふたりでトイレに行っている間になにかあったのかな?


前を歩く柳瀬と笹沼くん。

ふたりに気づかれないよう声を潜め、光莉に聞いた。

「光莉、さっき柳瀬となにかあったの?」

「……え?」


問いかけると光莉はあからさまにギクッとなり足を止めた。

そして同じく足を止めた私を凝視してきた。

「どうして? 別になにもなかったよ?」

ぎこちない笑顔で言われても説得力に欠ける。

なにかあったのは明白だ。

けれどその理由を光莉は私に言いたくないようだ。
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