全力片思い
「……そっか。ごめんね、変なこと聞いちゃって」

それ以上聞くことなんて出来なかった。


親友っていっても、言いたくないことだってあるはず。

現に私がそうだ。

私は光莉に嘘をついているのだから。

そんな私にこれ以上聞く権利なんてない。


それでも聞きたい、話して欲しい、寂しいって感じてしまった。

私にとって光莉はたったひとりの親友だから――。


「おーい、どうかしたのか?」

先に進んでしまっていたふたりが気付き、柳瀬が数十メートル先から声をかけてきた。


「ううん、なんでもない。……行こうか」

光莉に声を掛け先に歩き出す。そのときだった。

「あ……! 待って萌っ!」

聞こえてきた光莉の声。

「キャッ!?」

すぐに転ぶ音が聞こえ振り返った。

「光莉っ!?」
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