全力片思い
光莉の家は三階建てアパートの二階の角部屋。

何度かお邪魔したことがあるけれど、久し振りかもしれない。


「おばさんは今日も仕事なの?」

光莉の部屋に向かう途中、家の中が静かで尋ねると光莉は頷いた。

「仕事忙しいみたい」

「……そっか」


寂しそうに笑う光莉に、それ以上なにも言えなかった。

「飲み物持ってくるね」

「ありがとう」


私を部屋に案内すると光莉は飲み物を取りにキッチンへと向かった。

久し振りの光莉の部屋。

ついキョロキョロと見回してしまう。

「あっ……これ」

目に留まったのは、コルクボートに飾られているたくさんの写真。

ほとんどが私と光莉が写っているものばかりだった。

「懐かしいな」
< 163 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop