全力片思い
笑う光莉にこっちまで笑顔になってしまう。

けれどその笑顔もすぐに消え失せ、いつになく真剣な面持ちを見せた。

「あのね、萌……」

光莉のカップを持つ手が強まるのが見て分かる。


聞く体勢に入るものの、こっちまで緊張してしまう中、光莉は意を決したように自分の気持ちを話してくれた。


「私ね……その、柳瀬くんのこと、やっぱり好きみたい」

消えてしまいそうな小さな声だけど、しっかりと私の耳に届いた。

「…………そっか」

すぐに言葉が出なかった。


柳瀬の気持ちを聞いてから、いつかこんな日が来るんだと覚悟していた。

でも――実際に光莉の口から聞くと、なんともいえない気持ちに襲われていく。


切ないような苦しいような、嬉しいような……。

言葉では言い表せない複雑な感情に支配される。

「ごめんね、萌」

「え、どうして?」

突然謝罪してきた光莉に心臓が飛び跳ねてしまった。


どうして光莉が謝るの? ……もしかして私の気持ちに気付かれた?

柳瀬のことが好きだってバレちゃった?
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