全力片思い
先に歩き出した笹沼くんの後を追った。


やって来たのは人がこない非常階段。

廊下から階段に出ると、踊り場まで下った。

「ここならいい?」

「あっ、うん」


確認してきた笹沼くん。

頷くと手すりに寄りかかった。


「皆森さんも気づいているでしょ? ……光莉の気持ち。もしかしたら光莉から直接聞いた? あいつ、バカ正直だから真っ先に皆森さんに話しそうだし」

「……うん」


苦笑いしてしまう。

笹沼くんの言う通りだから。


「そっか。……で、どうなの? 皆森さん的には」

「えっと……それはどういう意味で?」

「幸のこと、もうきっぱり諦められたのかってこと」


ストレートな質問に心が大きく揺れる。

けれど自然となぜか笹沼くんから視線を逸らすことが出来なかった。


「それを聞くのは、笹沼くんは諦められないから?」
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