全力片思い
「私は笹沼くんの存在が心強かったよ。……笹沼くんもそうだったんでしょ? だから柳瀬のこと諦められるのか聞きたいんでしょ?」

「……っ!」


図星だったようで笹沼くんは拳をギュッと握りしめた。


やっぱりそうだったんだ。

そうだよね、きっと私が柳瀬を好きでいる期間より、笹沼くんが光莉を好きでいる期間の方が長いはず。

ふたりは幼なじみで小さな頃から一緒にいたのだから。


それなのに光莉は今、柳瀬への気持ちを加速させている。

私以上に辛いはず。――でも。


「光莉に告白しなくていいの? 後悔しない?」

「――え?」


私の質問に笹沼くんは顔を上げた。


「私はいっぱい後悔したよ。でも光莉と柳瀬の気持ちを聞いて、もう無理だって諦めがついた。少しずつだけどふたりのことを全力で応援できるようになろうって気持ちになっている。……でも笹沼くんは違うでしょ? まだ光莉のこと、諦めきれていないんでしょ?」

「俺は……」
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