全力片思い
すぐに隣を見れば、白い歯を覗かせた柳瀬がいた。

「急に立ち止まるなよな、危ないだろ?」


朝陽に照らされた柳瀬の顔が眩しくて、朝からドキッとさせられてしまった。

「なんだよ、今度はボーっとして」

なにも言い返してこない私に不服なのか、顔を顰めた柳瀬に慌てて口を開いた。


「あっ、いやそのっ……! 今日は光莉が休みだから心配で」

「え、小松崎さん今日休みなの?」


柳瀬の表情は一変し、余裕ない顔で私に詰め寄ってきた。

「なんで? 体調悪いの?」

「あ……うん、風邪を引いたみたいで」


ついさっきまでドキッとしていたくせに、今度は胸がズキズキと痛み出す。

なんて忙しない感情だろうか。

「そっか。……今日、休みなんだ」

光莉が休みと知ると、柳瀬はあからさまにガッカリした。
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