全力片思い
不意打ちの笑顔は反則技すぎて、恥ずかしくなり敬語になってしまった。

それに対しても笹沼くんはツボにハマったようで、また笑われる始末。でも――。


「とりあえず学校行こうか。それにこのままずっと立ったまま話していたら、変に注目されっぱなしだし」

「え?」


言われて周囲を見れば、笹沼くんの言う通り注目の的になっていた。


そうだった、ここは同じ学校の生徒が通る通学路。

どうして私ってば自分から注目されちゃうような言動を取っちゃったかな!


後悔している私に笹沼くんは「ほら早く行くよ」と急かしてきた。

相変わらず見下ろされる身長差。

けれど以前のような威圧感はなく、優しさが感じられる。


「……うん」

目が合うと胸がトクンとなる。

カレの優しを感じるほどに――。


並んで学校へ向かう中、笹沼くんは口を開いた。
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