全力片思い
「光莉待って! 家に入れてくれないかな? だって光莉は今、ひとりになりたくて学校を休んじゃうくらい悩んでいるんでしょ!? だったら家に入れて! 心配で放っておけないよ」


気づいてしまったら、親友として放っておけない。

悩みがあるなら、話して欲しい。


インターホン越しにこちらを見ているはずの彼女に必死に訴えかける。


「光莉は話したくないことかもしれないけど、光莉が苦しんでいるって知ったら私も苦しい。話してくれなくてもいい、せめて顔を見せてくれない?」


会いたい、光莉に。

強い思いをぶつけると、少しして家の中からこちらに向かってくる足音が聞こえてきた。


そしてゆっくりと開かれた玄関のドア。

その先には俯く光莉の姿があった。


「光莉……」

名前を呼ぶと彼女はゆっくりと顔を上げた。

「萌……」


目が合った彼女の目元は真っ赤に染まっていて、すぐに泣いていたのだと理解できた。


でもなぜ? どうして光莉は泣いていたの?


玄関先でお互い見つめ合ったまま立ち尽くしてしまう。
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