全力片思い
「上がって」

「あ、うん!」

招き入れられ、足を進める。

案内された先はリビングだった。


「ごめん、今自分の部屋ちょっと散らかっているから」

そう言いながら光莉はキッチンへ向かい、温かい紅茶を淹れて戻ってきた。


「はい、萌」

「ありがとう」

マグカップを受け取り、リビングのソファーにお互い腰を下ろした。


明らかにいつもと様子が違う光莉に、どう切り出したらいいか分からず、淹れてもらった紅茶を飲んだ。


シンと静まり返っているリビング。


暖房の温かい風が吹き出る風音だけが響く中、光莉はマグカップを両手で握りしめると、ゆっくりと話し出した。

「もしかして柳瀬くんから話を聞いた?」

「……うん」


いきなり本題を切り出され戸惑いながらも頷くと、光莉は力ない声で「そっか」と呟いた。
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