全力片思い
言葉が続かない。
どうしよう、聞いてもいいのかな? どうして柳瀬の告白を断っちゃったのかを。


悩んでいると、光莉はまたゆっくりと語り出した。


「昨日、萌を待って買い物していたらいきなり柳瀬くんから連絡があって、びっくりしちゃった。……でもすごく嬉しかった」


嬉しかった――? そうだよね、光莉だって柳瀬が好きだったんだもの。


「どうして断ったりしたの? 嬉しいくらい、柳瀬のことが好きなんでしょ?」


唇を噛みしめ問いかけると、光莉は大きく瞳を揺らした。


「うん……好きだよ、柳瀬くんのことが大好き。だから断ったの、付き合えないって」

鼻を啜る光莉に、ますます混乱していく。


泣くほど好きなら、どうして断ったりしたの?と。


「ごめっ……私、今から酷いこと言っちゃうけどいいかな?」


涙をたくさん溜めながらこっちを向いた光莉は、せきを切ったように話し出した。


「柳瀬くんが私を好きになったきっかけを聞いたの!」


衝撃の話に固まってしまう。

嘘……それじゃもしかして光莉は――?
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