全力片思い
「ごめん、もう帰ってもらってもいいかな? でないと私、もっと萌を傷つけるようなこと言っちゃうから」

「光莉、私っ……」

「お願い!」


すべてをシャットダウンするように光莉は俯き、涙を拭う。

その姿を見たらこれ以上なにも言えなかった。


ゆっくりと立ち上がり、リビングを出る直前振り返った。
今も光莉は俯いたまま泣いている。


「ごめんね、光莉……」


こんな言葉しか出てこない。


胸が痛い、苦しい。


溢れそうになる涙を必死に堪え、光莉の家を後にした。



私……なにやっているんだろう。

最低だ。

好きな人も親友も傷つけてしまった。


これが正しいと思っていた。

体育祭のあの日、柳瀬にタオルを掛けたのは光莉でいい。

自分の気持ちは隠すべき。

これからもふたりとずっと一緒にいたいからって。
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