全力片思い
私の目から見たら、笹沼くんは柳瀬に協力なんてする気配も感じられないのだけど……違うのかな?
笹沼くん、本心では協力するつもりなの?

それを柳瀬は感じ取っているからこそ、笑っているのだろうか。

私には分からないふたりの関係に首を傾げる。


「なぁ篤志、小松崎さんとは家が近所なんだろ? お見舞い行ったりしねぇの?」

「は? するわけねぇだろ? つーかいい加減うるさい」

読書を邪魔されているからか、笹沼くんは不機嫌そうに手で払った。


「なんだよ別に答えるくらいいいだろ? 篤志ってときどき意味分からないときあるよな」

「幸ほどじゃねぇよ」

明るい柳瀬とクールな笹沼くん。

一見すると一触即発な雰囲気だけど、これがふたりの日常。

いつもこんな感じだ。


最初見たときは勝手に大丈夫かな?って心配しちゃっていたけれど、今ではすっかり慣れっこだ。

そっとフェードアウトし、再び前を見据えた。

目の前は空席。前がよく見える。……でも明日になれば目に映る景色は一変する。
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