全力片思い
笹沼くんってば強引すぎない!?

私は行くなんて一言も言っていないし、なにより今の状況……かなり最悪なんですけど。

さっきからすれ違う生徒たちの視線が痛い。


そうだった、私にとって笹沼くんは苦手な人でも、みんなにとっては違うんだ。

なぜかクールで素敵! って女子が多いんだった。


「あっ、あの! とりあえず一回腕を離してもらってもいいかな!?」

「無理。早く届けて帰りたいから」

居たたまれない状況に情けない声で悲願したというのに、あっさり却下されてしまった。


いつも口数少なくて滅多に話さない人だと思っていたけど、まさかこんなに強引な人だったとは……!


あまりのギャップに呆気にとられる私の腕を引きずるようにして、笹沼くんは校門を抜け最寄り駅へと向かっていった。



掴まれていた腕を離してもらえたのは、光莉の家がある最寄り駅に降りたってからだった。

「こっち」

首で促されムッとしてしまう。
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