全力片思い
「だから今日皆森さんが無理して幸の前で笑っているの、正直見ていたウザかった」

「……っなに、それ」


“ウザイ”って言葉が胸に深く突き刺さる。

誰が聞いても好意的な言葉じゃない。


「どうしてそんなこと笹沼くんに言われなくちゃいけないの? 第一私のことウザイって思っていたなら、光莉のところへもひとりで来ればよかったじゃない! 私のこと、誘わないで欲しかった」


堰⁽せき⁾を切るように出た感情。

悔しくて視界がぼやけていく中、怒りを伝えるように私を見下ろす笹沼くんを睨みつける。

それでもカレの表情は一切変わらない。


本当になにを考えて私をここまで連れてきたの?

ただ純粋に光莉を思って……?

けれど笹沼くんの言動は、どう見ても私に対して好意的じゃない。


笹沼くんの真意が読み取れず、困惑してしまう。

人通りのある歩道で腕を掴まれたまま見つめ合う私たちを、通行人は不審な目で見てくる。

どれくらいの時間が過ぎただろうか。

笹沼くんがポツリと呟いた。
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