全力片思い
「幸のこと好きなくせに、自分は好きじゃないみたいに振る舞うの、いい加減やめろよ」

「……っ」


確信を得た目にカッと顔が熱くなる。

やっぱり気づかれていたんだ、笹沼くんに私の気持ち……!


咄嗟に掴まれていた腕を振り払おうと力を入れるも、更に強い力でそれを制止させられてしまう。

そして挑戦的な目で私を見下ろした。


「なに? 気づかれてないとでも思った? 悪いけど俺、幸と違って鈍感じゃないから。一年のときから幸と一緒にいる皆森さん見ていたら、嫌でも気付くし」

嘘、気づかれていた? しかもそんな前から!?


驚愕の真実にみるみるうちに全身の体温が上昇していく。


これじゃ笹沼くんの言っていることは、正しいと証明しているものだと分かってはいるものの、感情は素直に表に出てしまう。


「だから見ていて腹立つ。……三日前、あんな場面見せられたから余計に」

先ほどまでとは違い、真剣な面持ちに胸が鳴る。

どうして笹沼くんが腹立つのかな?
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