全力片思い
その後も他愛ない話をしながら光莉と学校へ向かっていった。


いつも通りでいられたのに、心が揺れてしまったのは学校に到着し、教室に入るそのときだった。

ふと目が合ったのは柳瀬――。


私と光莉の姿を確認するとパッと表情が明るくなり、ソワソワし出した。

おまけにいつもはみんなと一緒になって騒いでいるというのに、今日は光莉を待っていたのだろうか。

自分の席に着いてドアの方をチラチラと見ていた。


もちろんそんな柳瀬に気づくはずもない光莉は、教室の中へと進んでいく。

「新しい席が教壇の前だと迷わず進めていいわ」

「そっ、そうだよね」

相槌を打ちながらも、気になってしまうのは柳瀬のことばかり。それと――。


すぐ後ろの席にいるはずの笹沼くんの席は空席だった。

あれ? いつもはもうとっくに登校しているはずなのに、笹沼くんまだ来ていないんだ。
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