全力片思い
「いいかな? 一緒しても」

「えーっと……どう? 萌」

柳瀬のお願いに光莉は困惑した顔で私に判断を委ねてきた。


それはきっと私が笹沼くんのことを苦手だと知っているからだ。

光莉から視線を柳瀬に向けると、カレは必死に私に向かって「お願い」ポーズしていた。


そうだった、私……柳瀬に協力するって言っちゃったんだよね。

それなのにここで嫌とは言えるはずない。


「光莉がいいなら私はいいよ。みんなで食べたほうが楽しいだろうし」

笑って言えば柳瀬は単純に喜びを噛みしめ、光莉はいまだに心配そうに「本当にいいの? 無理していない?」と小声で聞いてきた。


「全然だよ、早く行こう。食べる時間なくなっちゃうし」

「気にしないで」と伝えるように明るく言うと、光莉は「それならいいけど」と言葉を濁らせた。

正直、光莉が柳瀬のことを好きになったら嫌だ。

でも柳瀬が悲しい思いをするもの嫌。

だからこうするしかないんだ。
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