全力片思い
四人で教室を出て向かう先は中庭。

けれど光莉の隣を歩いていたはずなのに、いつの間にか光莉の隣は柳瀬が歩いている。


光莉が自分でお弁当作っていると聞くと、柳瀬は声を弾ませて「すげー」って連呼しちゃっている。

次第に歩くスピードは遅くなっていき、一歩後ろでふたりの様子を眺めた。


柳瀬は明るくて話しやすい。優しい一面もある。

光莉は同性の目から見ても魅力的で、優しいし頑張り屋さんで。尊敬できるくらいだ。


そんなふたりだもの、このまま一緒に過ごす時間が増えていったら、私がどう足掻いても両想いになっちゃうんじゃないのかな?

お互い惹かれない理由がないもの。


もう私ってばなに考えているんだろう。

自分でそう思ったくせに、勝手に傷ついている。

こんな状態の中、四人で楽しく食事なんてできる?

楽しそうに話すふたりを見ても平気でいられる?

考えれば考えるほど無理な気がしてならない。

とうとう足は止まってしまい、無意識のうちに声が出ていた。
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