全力片思い
好きだからこそ素直になれない。

誘われて嬉しい、用事なんてあるわけない。

いや、むしろあったとしても断るに決まっている。

それなのに「大丈夫、付き合えるよ」って即答できない自分が恨めしい。


「まぁ……柳瀬がどうしてもっていうなら、仕方ないから付き合ってあげてもいいけど」

こうやって上から目線で了承することしかできない。


「へぇへぇ、それは光栄なことです。じゃあ行くぞ。時間がもったいない」

けれどこんな天邪鬼な私は今に始まったわけではなく、日常的なこと。


だからほら、柳瀬も適当にあしらっているし、リュックを背負ってもうドアの方へ向かって歩き出している。


「あっ! ちょっと置いていかないでよ!」

慌ててバッグを手にし、後を追い掛ける。


「皆森がモタモタしているのがいけねぇんだろ?」

肩を並べて昇降口に向かっていく間も口論してしまうけれど、心の中はハッピーお花畑状態だ。
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