全力片思い
「んっ……あれ? ここは」

目を覚ますと鼻を掠めたのは、ツンとつく消毒液の匂い。

そして目に飛び込んできたのは、真っ白なクロス。


「目を覚ましたかしら」

仕切られていたカーテンが開かれると、そこに立っていたのは養護教諭だった。

目を覚ました状態の私を見ると頬を緩ませ、優しい声色で問いかけてきた。


「体調は大丈夫? 痛いところはないかしら」

「痛いところ……」

いまだに上京が把握できていない。

どうして私、保健室のベッドの上で寝ているんだっけ?

片手を額に当ててしまうと気づいたのか、先生は話してくれた。


「覚えていない? 終業式中に倒れたこと。だめじゃない、体調悪いなら無理せずにすぐに言わないと」

ベッド脇に腰掛け注意されて思い出した。

そうだった。
私、体調悪くなって限界で……近くの先生に言って休ませてもらおうと思ったんだった。

「私、倒れちゃったんですね」
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