全力片思い
「あっ、やっぱ貧血女だ! 終業式の日、大丈夫だった?」

「あっ……! あの! あの日は助けてくれて、本当にありがとう!!」

カレの笑顔に魅了されながらも、慌てて頭を下げた。


「えー、なんだよ。もしかして礼言いにわざわざ来てくれたわけ?」

「……うん」

頷き顔を上げると、やっぱりカレ……柳瀬くんは笑っていた。


「律儀だな、当然のことしたまでなのに」

「そんなっ……! 柳瀬くんがしてくれたこと、誰にでもできることじゃないよ。……本当にありがとう」


再度「ありがとう」と伝えると、柳瀬くんは面食らった後「クククッ」と喉元を鳴らした。

え、どうして笑うの? 私、笑わせること言っていないよね?


なにかマズイことでも言ったのかと、自分が言った内容を思い出していると、柳瀬くんは「ごめんごめん」と謝ってきた。

「名前は?」

「え?」

キョトンとしてしまうと柳瀬くんはクスリと笑う。
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