全力片思い
「なに? ずっと貧血女って呼ばれたいわけ?」

すぐに首を横に振る。

そういえばさっきから柳瀬くん、私のことを貧血女って呼んでいたよね?

しみじみ考えるとなんて失礼な呼び名だろうか。

でもそれは柳瀬くんが私の名前を知らないからで。


「じゃあ教えてよ」

首を傾げ聞いてくるカレに伝えた。

「……皆森萌」

ポツリと自分の名前を呟くと、柳瀬くんは満足気に頷き手を差し出してきた。


「今日から友達。よろしくな、皆森!」

「え? あっ!」


躊躇してしまっている私の手を無理やり掴み、ブンブンと繋いだ手を振ってくる。

強引だけど笑顔が印象的で、きっと優しい人なんだって思った。


それが柳瀬と初めて対面したときに思った率直な印象。

もしかしたらこの日から私は、柳瀬を好きになってしまっていたのかもしれない。
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