全力片思い
きっぱり否定する笹沼くん。

すると柳瀬は視線を私に向け、「本当に？」と聞いてきたものだから、何度も頷いてしまった。

「そっか……やっぱそうだよな」

やっと柳瀬も信じてくれたようだ。

ホッと胸を撫で下ろすと光莉が身体を後ろに向け言った。


「でもどうして急にそんな噂が流れたんだろうね」

「知るかよ。すっげ迷惑」

笹沼くんは素気なく言うと、また本の文字を追い始めた。

咄嗟に光莉と目を合わせてしまう。


「っとにこいつは何に対しても感心がないっつーか、冷たいっていうか……」

笹沼くんの態度に柳瀬は呆れ気味に言った。


けれど本当にどうして急に、私と笹沼くんが付き合っているなんて噂が流れてしまったのかな？

そんな素振り見せていないし、なにより現実は噂とはかけ離れている。

「萌、噂なんてすぐ消えちゃうだろうし、気にしない方がいいよ？」

大きな瞳を揺らして心配してくれる光莉。
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