全力片思い
「うん、ありがとう」

そうだよ、笹沼くんが好きなのは光莉だ。
笹沼くんだけじゃない、柳瀬だってそう。


ふたりが好きなのは、綺麗で笑顔が可愛くて優しくて……尊敬もできちゃう光莉なんだ。

ここ数日間で何度も自分に言い聞かせたこと。

それなのに柳瀬が好きなのは光莉だと再認識しちゃうと、切なくなる。


「もうチャイム鳴っているぞー」

担任が教室に入ってくるとクラスメイトたちは席に着き、柳瀬と光莉も身体を前に向けた。

そして始まった朝のHR。

先生の話をボーっと聞いていると、机をトントンと指で叩く音が聞こえてきた。

え、なに?

すぐに隣を見ると笹沼くんが前を見据えたまま机を指差していた。


なんだろう、机?

指差す方向を目で追っていくと、机の上には小さく折りたたまれた紙があった。

手に取り開いていくとそこにはこう書かれていた。

【そんな顔していると、そのうちバレるよ】と――。
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