全力片思い
「萌……大丈夫?」

すさかず光莉が声を掛けてくれるものの、ぎこちない笑顔を向けるだけで精一杯だ。


自販機で飲み物を買い、光莉の提案で比較的人気の少ない別棟の空き教室にやって来た。

「うん、ちょっと埃っぽいけどここなら誰も来ないだろうし、ゆっくりできるよね」

「ありがとう、光莉」


本当に光莉のこういった優しいところ大好きだ。……大好きだからこそ、複雑な気持ちで埋め尽くされてしまうよ。


窓を開けて椅子に座り、買ってきた飲み物を飲む。

すると光莉はポツリポツリと話し出した。


「あのね……前にも話したかもしれないけど篤志、見た目だけじゃ誤解されやすいけど、本当はすごくいい奴なんだ」

口を挟まず光莉の話を聞く体勢に入った。


「篤志とは物心つく頃からの付き合いなんだけど、ほら……うちって母子家庭でしょ? それで色々と言われることがあってさ。……でもそのたびに篤志が庇ってくれたの」

「……笹沼くんが?」

ちょっと信じられなくて口を挟んでしまった。

すると光莉はクスリと笑みを漏らした。
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