全力片思い
あぁ、やっぱりそういう態度取られちゃうと嫌でも期待してしまうよ。

もしかしたら柳瀬は私に告白をしてくれようと、しているのかもしれないと。


柳瀬から伝染したように私も落ち着きを失くしていく。

オルゴール音が鳴り響くカフェ内。

客は私たちの他に三組だけ。


どちらからともなく口を閉ざして数分。
柳瀬は目の前にあったオレンジジュースを一気飲みすると、鋭い眼差しを私に向けた。


怯んでしまう中、柳瀬は前屈みになり意を決したように話し出した。


「好きになっちまったみたいなんだ」

「――え」



「小松崎さんのことが」


愛の言葉にドキッとしてしまった次の瞬間、一気に現実の世界へと引き戻された。


「え……と、小松崎さんって……光莉のこと、だよね?」

混乱する頭を必死にフル稼働させながら言うと、柳瀬は茹でタコのように顔を真っ赤にさせた。
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