全力片思い
声を荒げてしまうとすぐに光莉は声を上げて笑い出した。

「アハハッ! もちろん私の勝手な願いだから! 大好きなふたりがそうなったら嬉しいなって思っただけ」


嬉しい……だなんて。

偶然にも知ってしまった笹沼くんの気持ち。

今の話をカレが聞いたらどう思うだろうか。

笹沼くんの気持ちを考えると、聞かずにはいられなかった。


「光莉は、さ……笹沼くんと小さい頃から幼なじみで庇ってもらったりして、その……好きになったりしないの?」

私と同じように大切で大好きな存在って言っていたよね?

それはつまり恋心ではないのかな?


しどろもどろになりながら問いかけると、光莉はすぐに答えてくれた。

「それはないかな? 篤志とはなんていうか……家族みたいな関係だから」

「家族?」

聞き返してしまうと、光莉は大きく頷いた。


「親同士も仲良くて、よく私はお母さんが仕事で家にいないと篤志の家に預けられていたの。だから兄妹みたいに育ったし、向こうもそう思っているんじゃないのかな? ……だからよく助けてくれたんだと思う」

光莉……。
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