全力片思い
机の中の物をバッグの中に詰め込んでいく。

今日はとにかく早く帰りたい。帰ってひとりになりたい。

そんな思いでバッグを手にし、立ち上がったとき。


「皆森、ちょっといいか?」

声を掛けてきたのは柳瀬だった。

立ち上がった私に、再び椅子に座るよう促してくる。


えっと……どうしよう。

咄嗟に「用事があるから」と言いそうになったけれど、いつになく真剣な面持ちの柳瀬を前にしたら言えなかった。


「どうしたの?」

再び腰を下ろし、柳瀬に問い掛ける。

チラッと周囲を見れば、ドアの方で笹沼くんが担任の先生と話していた。

ひとまず笹沼くんが見ていないことにホッとしてしまう。

再び柳瀬の方を見ると、椅子を前に引き私との距離を縮めてきた。


驚きほんの少しのけ反ってしまう中、柳瀬は真剣な面持ちのまま大きく瞳を揺らした。
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