aeRial lovErs
着陸した機体が格納庫に牽引される間、ぼんやり考えていた。

高崎の最後の挙動についてだ。

最後失速せずに、後少し回避すれば逃げ切れたはずだし、ただのミスにしては不自然な挙動だ。

どちらにせよ、あの緩やかな直線的減速は、実戦なら確実に海に沈んでいただろう。

機体が定位置に着きタラップを降りる途中、高崎の姿が見えた。

「おい!」

私の呼び掛けに高崎が振り向く。

小走りにこちらに来た高崎は、深く頭を下げる。

「申し訳ありません。」

なるほど、自覚は有る様だ。

「いや、謝られても困るが、実戦なら死んでいたな。」

とは言っても事実上休戦状態の最近では、むしろ偵察飛行の方が危険な時の方が多いのだが。

高崎は、黙って下を向いている。

「まあしかし、後は悪く無い。集中力を着ける事だな」

「有り難うございます。」

頭を下げた高崎に片手を上げて立ち去ろうとした私を、高崎が呼び止める。

「あの・・・失礼ですが三島係長は、もう装攻部には戻られ無いのですか?」

私の全身を脱力感が襲う。

菱沼の病気は、伝染するのかも知れない。

「その予定は無い。」

完結に答え、立ち去ろうとした時、高崎と目が合う。

少し悲しそうな目をしている様に見えた。

私が戦闘機に乗らないのは、そんなにいけない事なのか?

軽い怒りを覚えながら私は格納庫を離れた。
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