aeRial lovErs
基地の周辺は緑が多かったが、市の中心に向かうにつれて、建物の方が多くなって行く。

「こちらには、なれたかい。」

「そうですね、皆さん親切ですから。」

私の問い掛けに高崎は笑顔で答えた。

「そりゃ出流ちゃん位かわいけりゃ皆ほっとかないよ。」

「菱沼には、気を付けろ。結婚する前は色男で鳴らしたみたいだから。」

「お前、ばか、今はほらその。」

私の冷やかしに菱沼があわてる。

こう見えて、かなりの恐妻家にして、それを凌ぐ愛妻家なのだ。

「そうですよ、毎年誕生日プレゼントする素敵な旦那様じゃないですか。」

「すまない、すまない。」
思わず吹き出してしまう。

「ウチのは、怖いんだからな変な噂は流さないでくれよ。」

「でも、私が選んだら多分、奥さん気付きますよ。女性って、そう云うの敏感ですから・・・大丈夫ですか?」

心配そうに首をかしげる高崎に、菱沼はニヤりとする。

「その辺は抜かり無い。今俺は、三島とそのお友達と出かけてる訳だ。」

もしかして。

「車が故障したって云うのは・・・。」

「ありゃ本当だ。ただ余計な作戦を立てずにすんだ。」

菱沼は、得意顔だ。

まあ良い、たまにはこう云うのも悪く無い。
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