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「本日午後、総理大臣をC国まで護衛する事が正式に決定した。」

第七会議室に本部長の言葉が静かに響く。

ホワイトボードの前の机には、本部長、支部長、その両側に装攻部長、空域諜報部長が鎮座している。

本部長が中央から来ているとは、えらく気合いが入っている。

「隊列、航路は手元の資料に書かれている通りだが、出口でシュレッダーにかけてもらう。」

「なお、航路は直前に菱沼君の方から各機にデータを有線で送ってもらう。」

本部長の言葉を支部長が捕捉すると、菱沼が大きく頷く。

最も、作業着に腕組み姿だが。

「なお、隣の基地からも同様の部隊が飛び立つが、どちらかが影武者が乗り込む事になっている。」

やけに、警備が厳重だ。

ふと、部屋の隅で空気が動く気配がする。

見やると、高崎が無言で手を上げていた。

本部長が高崎に向かって頷く。

「警備が厳重に思うのですが、何か通常ではない要素が含まれているのでしょうか?」

「こちらは、非公式の情報だが。」

本部長が会場をグルリと見渡す。

「今回C国との会談の内容は、K国の麻薬製造に対する制裁についてがメインになる。」

なるほど、やばそうだ。

「さらに、未確認ながらK国の軍が動くとの情報も有る。」

一堂に緊張が走る。

事実なら実質二年半ぶりの実戦になる恐れが有る。

「急だが出発は六時間後になる。それまでに準備を整える様に。」

いつでも出発出来る様にする為に整備部はさぞ忙しかっただろう。

「この部屋を出てからはこの話題を出さない様に、以上。」
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