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会議から5時間40分が過ぎ、作戦に関わる機体が集まり始める。

高崎達の乗るSW-24が六機、私の乗るGU-23が一機の計七機はすでに滑走路にスタンバイしている。

SW-24は、高崎の乗る物だけ黒で後は白地に思い思いのペイントを施している。

総理が乗り込むはずの小型旅客機LFA-2019だけ、いまだ格納庫のなかで待機したままだ。

小型旅客機とはいえ、LFA-2019は、かなりの出力を誇る高級機である。

その搭乗口にはタラップがセットされているが、人が乗り込む気配はまだ無い。

『鴎さんよお、甲は、まだ来ないみたいだな。』

スピーカーから菱沼の声がする。

受信距離が数十メートルの超短距離通信にスクランブルまでかけてある。

甲とは、この作戦で言う護衛対象、つまり総理大臣の事だ。

ついでに説明するなら乙1〜乙7が私たちを現す。

高崎は乙3、私は乙7だ。

「退屈してんのか整備部。」

『もうやれる事はやった。』

「ご苦労さん、今日は旨い酒でも呑んでくれ。」

『酒はいつでも旨い、あ、各機、聞いてるか?具合は良好か?』

それぞれから良好を伝える無線が飛びかう。

『まあそうだろう、では無事を祈る。』

くびをひねり、後ろを見ると、格納庫の前で武骨なハンディ無線機を持つ菱沼の姿が見て取れた。

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