aeRial lovErs
スロットルを開け、隊列から徐々に離れる様子がレーダーで見て取れる。

短距離通信エリアから外れる。

敵感知のアラームは沈黙を守ったままだ。

「・・・来る。」

レーダーに目をやると画面の片隅が、ぶれる。

即座に無線を解放する。

「丙を確認、戦闘体制に入れ。」

スロットルを絞り合流するため減速する。

画面のぶれは、すでにはっきりと定まり敵索アラームも鳴っている。

機影は五つ。

レーダーで護衛が迎撃体制を整えるのが分かる。

既に丙、つまり敵は目視出来る。

『乙1迎撃に向かう。』

『乙3、続きます。』

ニ機がグンと加速する。

逆に私は、速度を落しながら高度を下げる。

敵の水色の機体がすぐそばをかすめる。




すれ違いざま、敵の機体に描かれた落書きが見て取れた。



それは、黒い兎だった。
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