aeRial lovErs
1時方向の黒兎に向けて軽く機体を傾かせ右斜めに機体を滑らせる。

3時方向からも障害が一機接近している。

遭遇に控え機首を上げながら速度を殺す。

機体が90度向いてから更に速度を落とすと失速の警報が出た。

挙動が不安定になった所で一気にスロットルを開放すると、気持ち良く障害の背中が目の前に現れる。

迷わず機銃のトリガを搾る。

「7、一機撃墜。」

報告しながら位置を確認。

まだ、届く。

あの時、届かなかった場所に。

操縦桿を緩く左回転、方向を修正。

広域レーダーに、新たな反応と、無線連絡が入る。

「C国より援軍の知らせ、合流は5分後。」

連絡を入れながらも、嫌な汗が背中を伝う。

自暴自棄になられるとマズイ。

高崎はいまだ黒兎を振り切れずにいる。

速度を上げて、黒兎との距離をつめる。

高崎は、水しぶきが上がるほど海面スレスレを飛んでいる。

そこに、黒兎が威嚇する様に機銃を打ち込む。

挙動を乱しながら、右へと機体を走らせる。

まずい。

「高崎ぃ!」
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