aeRial lovErs
「乙3、無事か?」

『な、何とか無事です。』

無線ごしに答える声が微かに震えている。

無理もない。

「良く耐えた。」

『すみません。』

高崎が力なく謝る。

「いや、良い腕だ。」

『本当ですか?』

「ああ、相手はそれなりに有名な奴だったんだぞ。」

『そうなんですか?』

高崎の声に徐々に落ち着きが戻って来る。

「ああ。」

『じゃあ帰ったらご褒美でも貰おうかな。』

「ん?」

唐突な言動に少し戸惑う私に、高崎が続ける。

『見たい映画が有るんです。』

「・・・」

『ダメ、ですか?』




まあ、こう云うのも悪くないかも知れない。

「乙7より乙3へ、了解。」

『やった!』

喜ぶ高崎の声に泉谷の笑を殺した声が重なる。

『いちゃつくのは、帰ってからにしてくれ。』

「すまない。」
『すみません。』

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