aeRial lovErs
「すまない。」

何だか申し訳ない気持ちになった私は、思わず謝ってしまった。

「自分を責めるな三島、黒兎なら、もう一年ほど前から飛んで無いって噂だ・・・そろそろ、良いんじゃないか?」

私は聞きたく無い名前を聞いて、不愉快な気分になる。

「関係の無い話だ。」

低く唸る様な私の声に、菱沼は、すまなさそうにうつむく。

「悪かった。」

私は、大きく溜め息をついて菱沼の頭を軽く叩く。

「いた、お前、人が素直に謝ってるのに。」

口を尖らせ拗ねる菱沼の顔におもわず吹き出してしまった私は、反撃を予測して、半歩飛びのきなから謝る。

「悪かった、悪かった。」

攻撃が空振りに終わった菱沼は、やめやめ、と手を振り、階段へ向かう。

「もう晩飯だ、片付けに行ってくる。」

階段を降りる菱沼に、軽く手を振り見送った私は、しばらくして気付く。

「あいつタバコ、ケースごと持って行きやがった。」
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