たったひとつの恋をください




「一番後ろだからって寝るなよ?まあ、須藤はしょっちゅう寝てるけどな」


先生の軽口に、あはは、と笑いが起こる。


いや、待って待って。全然笑えないんですけど。


だけど断るわけにもいかないから、渋々言われた通りの席に向かう。


同じクラスってだけでも意識してしまうのに、まさか隣だなんて。



「よろしくね。塩屋さん」



頬杖をついて、ニッと悪戯っぽい笑みを向けてくる蓮。


……絶対、おもしろがってる。


「よろしく、須藤くん」


平然を装って真似してみたけど、緊張してるのがバレバレで、余計に恥ずかしさが増すだけだった。



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