たったひとつの恋をください




「ぶっちゃけさ、羽川さんってどうなの?」


一人が興味津々な様子で訊いてくる。


「どうって?」


「うーん、なんか、二人って全然タイプ違うじゃん?話合うのかなって」


「あ、それ思った。二人でいるとき何話してるの?」


「てかさ、ナナちゃん、うちらと一緒にいたほうがいいと思うよ。あの子あんまいい噂聞かないし、嫌ってる子結構いるよー」


「噂……?」


私はつい眉をひそめる。


「うん。蓮に近づこうとするヤツ影でいじめてるとか。ナナちゃんも気をつけたほうがいいよ」


「ちょっと可愛いからって人のこと見下してるよね。ナナちゃんも手下ぐらいに思われてるかもよー?」


「うわ、超腹黒じゃん」


キャハハ、と笑い合う彼女たち。


一緒に笑うなんて、できるはずがなかった。


だけど喉まで出かかった言葉は出て来なくて、悔しくて、私は制服のスカートをギュッと握りしめた。



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