たったひとつの恋をください




たくさんの言葉たちが、真っ黒な海に浮かぶみたいに、私の心を支配していく。


真っ暗で何も見えなくなる。さっきまで楽しいと思っていた時間あっという間に闇に沈んでいく。


立っていられなくて、その場にうずくまりそうになった、そのときだった。



「んなわけねーだろうが」



声が、聞こえた。


真っ暗闇の中に、よく聞きなれた声。


その瞬間。ふっと、目の前が明るくなったような気がした。


「誰が仕方なく一緒にいるって?俺らの何を知ってて言ってんだよ」


蓮が壁にもたれながら、呆れ顔で言う。


「れ、蓮……っ!?太一も……!」


三人の顔色がさっと変わるのがわかった。目を泳がせて、必死に言い訳を考えてるみたいだけど。


「あのね、言っとくけど、俺らがいたいから七瀬と一緒にいるの。それだけ。わかったらもう行ってくれる?」


蓮の口から、いつになく冷たく放たれた言葉。


彼女たちは何か言いたそうな顔をしつつ、でも結局何も言わないで、そのまま気まずそうに顔を背けて走って行った。



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