たったひとつの恋をください
第六章 「小さな繋がり」
十月に入ると暑さは一気に引いて、制服も長袖に衣替えした。
空には秋らしいうろこ雲が浮かぶようになって、校庭の銀杏の葉が黄色く色づいていくのが、私の席からはよく見える。
でもその手前に窓際の蓮の席があるから、窓の外を見ようとすれば、自然と君の姿が視界に入ってしまう。
朝練で疲れているらしい蓮は、休み時間は大抵いつも机に突っ伏して寝ている。
蓮の茶色い髪の毛が、風にふわふわと揺れる。いつもながら気持ちよさそうな寝顔。
「あっ、太一たちがサッカーしてる」
「ほんとだ。元気だよねぇ」
すぐそばから聞こえてくる女の子たちのおしゃべりに、はっと我に返った。
……あ、あぶない。つい、無意識に見惚れてしまってた。